FILM / 2026
人は、過去を抱えたまま生き直せるか。
中島哲也が18年かけて辿り着いた『時には懺悔を』
『下妻物語』『告白』の中島哲也監督が、構想18年を経て完成させた映画『時には懺悔を』が、2026年8月28日(金)に全国公開される。
過去は消せない。時間を巻き戻すこともできない。それでも、人はその先を生きていかなければならない。

映画『時には懺悔を』
8月28日(金)全国公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会
TIME IS LIFE VIEW
この映画に流れているのは、「人生と時間」の物語だ。
『時には懺悔を』というタイトルから浮かび上がるのは、「罪を告白すること」だけではない。
間違えてしまった人間は、その後の人生をどう生きるのか。
誰かを傷つけたこと。誰かを救えなかったこと。愛せなかったこと。逃げてしまったこと。
そして、過ぎ去った時間を抱えながら、それでももう一度前へ進むことはできるのか。
TIME IS LIFEがこの映画に惹かれたのは、そこに流れている「人生と時間」の物語だった。
18 YEARS
18年かけて、ようやく映画になった物語
『時には懺悔を』の原作は、作家・打海文三が1994年に発表した同名小説。打海自身が障がいのある息子を育てた経験を背景に生まれた作品で、その後「アーバン・リサーチ」シリーズへとつながっていった。
中島哲也監督がこの原作と出会ったのは、およそ20年前。『嫌われ松子の一生』の撮影後に原作を手にし、『パコと魔法の絵本』を制作していた頃には、すでに映画化への思いがあったという。
しかし、すぐには実現しなかった。
障がい、介護、親子、孤独、罪、後悔、生と死。物語の中心にあるものは、エンターテインメントとして世に送り出すには決して簡単ではないテーマだった。
それでも、中島監督は手放さなかった。
映画としての「構想18年」。
原作との出会いから数えれば、約20年。
1994 → 2026
1994年に生まれた物語を、2026年に読む
映画化をきっかけに、原作『時には懺悔を』にもあらためて注目が集まっている。
読書メーターなどに寄せられた長年の読者の感想を追っていくと、この作品が単純な「事件を解くミステリー」としてだけ受け止められていないことがわかる。
読者が強く反応しているのは、障がいのある子どもと親、介護する側の葛藤、人間の弱さ、そして厳しい現実の中でも前を向こうとする人々の姿だ。
30年以上前に書かれた作品でありながら、作品が突きつける問いは古びていない。
子どもだったら。
家族だったら。
そして、そこから逃げてしまった人間だったら。
STORY
探偵が殺された。だが、本当に描かれるのは「事件」だけではない

©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会
物語は、一人の探偵の死から始まる。
殺されたのは、「死んだほうがマシな人間」とまで呼ばれていた探偵・米本。
その死を調べることになったのが、米本の元同僚で一匹狼の探偵・佐竹(西島秀俊)と、探偵助手として修業中の聡子(満島ひかり)だ。
二人が調査を進めていくと、事件は9年前に起こった新生児誘拐事件へとつながっていく。そして、その先にいたのが、重い障がいのある少年・新だった。
ミステリーとして始まった物語は、少しずつ違う顔を見せ始める。
事件を追うことは、そのまま彼らが生きてきた時間をたどることになっていく。
PARENTS / CHILDREN
親であること。親になること。
この作品には、いくつもの異なる「親と子」の関係が登場する。
佐竹には、脳性麻痺の息子・正樹を亡くした過去がある。妻の由紀(柴咲コウ)は、自宅で正樹の介護を続けながら孤立していった。
明野(宮藤官九郎)は、重い障がいのある9歳の新を一人で育てている。聡子もまた、離れて暮らす娘との関係に傷を抱えている。
親だから、無条件に強くなれるわけではない。親だから、いつでも正しい選択ができるわけでもない。
愛しているからこそ苦しくなることもある。逃げ出したいと思うこともある。自分自身を責め続けてしまうこともある。
これは、理想的な親子像を描くだけの物語ではない。人が誰かを愛するときに生まれる、矛盾や弱さまで見つめようとしている。

©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会

©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会

©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会
SPECIAL NEEDS
「できない」ではなく、「どうすればできるか」
『時には懺悔を』で注目したいのは、スクリーンに映る物語だけではない。
本作には、20名を超えるスペシャルニーズのある子どもたちが出演している。
新を演じるしんすけも、その一人だ。
制作陣が大切にしたのは、「障がいのある子どもだから」という理由で起用することではなく、しんすけ自身が「新という役にふさわしい」と考えることだった。
現場では、スペシャルニーズスーパーバイザーの安田一貴、家族、医療チーム、制作スタッフが連携した。
どうしたら挑戦できるのかを考える。
TIME CHANGED SOCIETY
この映画を作るために、社会にも18年が必要だったのかもしれない
なぜ、この映画は18年前には完成しなかったのだろう。
もちろん、映画には資金、企画、キャスティング、制作体制など数多くの条件がある。
しかし中島監督は、原作と出会ってからの約20年間で、世の中の価値観が少しずつ変わり、このような作品が受け入れられる土壌が整ってきたことを実感していると語っている。
そう考えると、『時には懺悔を』に流れた18年間は、中島哲也という一人の映画監督だけの時間ではない。
作品が完成するために必要だったのは、
監督の18年だけではない。
社会の側にも18年という時間が必要だったのかもしれない。
A NEW NAKASHIMA
中島哲也監督が「中島哲也らしさ」を手放して撮った映画
『下妻物語』『嫌われ松子の一生』『パコと魔法の絵本』『告白』『渇き。』『来る』。
中島哲也監督といえば、緻密に作り込まれた映像世界を思い浮かべる人も多い。
しかし『時には懺悔を』では、その方法自体を変えた。
手持ちカメラを中心としたドキュメンタリー的な撮影。凝ったライティングを極力避け、自然光を生かし、クレーンやレールといった特機もほぼ使用しない。
俳優の芝居と、そこに存在する人間をできるだけそのまま見つめる方向へと舵を切った。
約20年間追い続けた作品を撮るために、それまで自分が築いてきた方法さえ手放す。

©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会
PEOPLE / CONSEQUENCES
誰も、完全ではない。
家族との関係に傷を抱える佐竹。まっすぐであるがゆえ、ときに他人と衝突する聡子。新を育てる明野。過去を抱える民恵(黒木華)。佐竹の妻・由紀。
誰も「正しい人間」と「間違った人間」にきれいに分けることはできない。

©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会

©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会

©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会
WHAT DOES IT MEAN TO LIVE?
過去は消えない。それでも時間は続く。
懺悔とは何だろう。
自分の過ちを告白することなのか。誰かに許してもらうことなのか。
それとも、自分がしてしまったことを忘れず、その後の時間を生きていくことなのか。
過去そのものを書き換えることはできない。どれだけ後悔しても、失われた時間は戻ってこない。
それでも人生は、そこで終わるとは限らない。
生きていく。たとえ神様なんていなくても——
『時には懺悔を』が提示するのは、過去をきれいに清算した人間の物語ではない。
傷つけた人。傷ついた人。間違えた人。逃げた人。愛したかった人。
そして、それでも今日を生きている人。
もし、過去をやり直すことができないとしたら。
私たちは、その先の時間をどう生きるのだろう。
OFFICIAL TRAILER
映画『時には懺悔を』予告映像
FILM INFORMATION
映画『時には懺悔を』
2026年8月28日(金)全国公開
監督:中島哲也
原作:打海文三『時には懺悔を』(角川文庫/KADOKAWA)
脚本:中島哲也 門間宣裕
制作:REMOW
制作プロダクション:さざなみ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
西島秀俊 満島ひかり
黒木 華 宮藤官九郎
毎熊克哉 鈴木 仁 烏森まど 山﨑七海
唯野未歩子 野呂佳代 長井 短 しんすけ 山下舜太 諸角優空
柴咲コウ
塚本晋也 片岡鶴太郎 / 佐藤二朗
役所広司
※「塚本晋也」の「塚」は、点ありの旧字「塚」を使用。
タイトル:時には懺悔を
公開:8月28日(金)全国公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会









